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レアメタル問題を考える

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レアメタルとは

最近、レアメタル問題が話題になっていますが、レアメタルが具体的に何を指すのか、今ひとつ分からないという人も多いのではないでしょうか。
レアメタルというのは、「レア(稀)」という言葉から推察されるように、存在量が非常に稀であるか、抽出が非常に困難でしかも産業に利用されることの多い希少な非鉄金属のことを言います。

具体的には、リチウムやバナジウム、クロム、タングステン、コバルト、モリブデンなどがレアメタルと呼ばれています。
経済産業省の定義では、31鉱種がレアメタルに分類されています。
チタンもレアメタルの一つで、地中埋蔵量は多くても、スタンを精錬するのが困難なために、レアメタルに分類されています。
レアメタルの用途は多岐にわたっており、発光ダイオードや永久磁石、光触媒、ニューガラスなどの材料となります。

レアメタルの2大リスク

レアメタルが産出されるのはオーストラリアやコンゴ民主共和国、チリ、カナダ、中国、ロシアなどに限定されており、国際的な争奪戦が激化しています。
日本も、ニッケルでは世界の10.3%のシェアを誇っています。
レアメタルにリスクが存在するのは、このように特定の地域でしか生産されないという特徴があるからです。

レアメタルには「資源偏在リスク」と「資源枯渇リスク」の二つのリスクがあり、今後もこのリスクが減少していく可能性はありません。
レアメタルの需要は高まる一方なのに対し、供給には限りがあるわけですから、世界的な経済のバランスを見ながらレアメタルを扱っていくことが大切になります。

特にスカンジウム、イットリウムからルテチウムに至る17元素のグループは、希土類元素(レアアース)と呼ばれています。
レアアースもレアメタルと並んで現代産業を支える大切な元素で、レアアースの大部分(97%)は、中国から算出されています。

環境問題も無視できない

レアメタルは希少価値が高く、精製が困難なことに加えて、採掘するために環境にダメージを与えることが多い事実も無視することはできません。
例えば、ハイブリッド車「プリウス」を生産するためには、1.3キロのエアアースが必要です。
その中でも非常に特殊なジスプロシウムというレアアースが100g必要とされるのですが、1台分のプリウスを作るためには、4トンもの鉱石を処理しないと必要な量のレアアースを得ることができません。

これだけの量の鉱石を採掘して現地で精製するわけですから、環境破壊には目を見張るものがあります。
何気なく乗っているハイブリッド車でも、これだけ環境を破壊した上で生産されていることを、私たちはもっとよく認識しなければなりません。
コンゴなどでは、レアメタルであるコバルトを「手掘り」して搾取されている人たちが存在します。