東日本大震災は本当に未だ記憶から消えることはありません。
様々な爪痕を残しましたが、津波により、水田に多大な塩害の被害をもたらしたのもその一つです。
津波によって農地が冠水して塩害で稲作など存続することができなくなってしまったのです。
その被害の面積は20,000haという大きなものとなっています。
震災が起こり、泥土が流入してしまった水田で、まず瓦礫の撤去よりはじめていかなければなりません。
土は黒っぽくなり、それはもともとここにある土ではなく海底より運ばれてきた土だからです。
植物の成長を妨げる物質を含んだ土であり、そのまま稲作などして植物が育つ筈はありません。
そしてしの物質は空気に触れることで、硫化物が酸化されて硫酸(H2SO4)が発生します。
更に低pHによっていろいろな害がもたらされることを警戒しています。
その為にもそのような黒い土は除去する必要があります。
植物への影響
塩害によってどのような被害がもたらされるのかを追求しましょう。
浸透圧に関しての問題があります。
黒い土には、塩化ナトリウム(NaCl)が多く存在することによって、より浸透圧が高くなります。
そして浸透圧が高まることで、植物が行いべき吸水作用を妨げてしまいます。
更にナトリウムイオンがここに高濃度で存在しているために細胞のイオン濃度も上昇して、様々な必要反応も阻害されることになります。
また、土のナトリウムイオンの濃度が高いことで、土壌粘土鉱物が分散しやすく、団粒構造が簡単に破壊されて行ってしまうことになります。
まず、しっかり土壌分析することよりスタートしましょう。
どのような土壌かと言うことを分析して、瓦礫を撤去して、汚泥を撤去する必要があります。
用水を送るための施設、排水する施設の方は正常に機能しているでしょうか。
塩害に立ち向かう姿勢
実際に東日本大震災が起き、作付けを断念したと言う人たちも多くいますが、塩害被害に真っ向から闘う姿勢を見せている人たちもいます。
2~3年は作付け出来ないと実際に言われている訳ですが、そのような土地を使用してと、米が実際に実れば、多くの農家の人たちにもやろうという勇気が生まれてくるのではないでしょうか。
もちろん農家の人たちの力だけでなく、NPO団体や瓦礫撤去など全国のボランティアの人たちが一体になり、米を育てて行こうという強い意志のもと、塩害被害は改善されて行きます。
もちろん東日本大震災がない方がいいですが、農家の人たちも人と人との強いコミュニケーションの力を知ったといいます。
危機はこのような形で襲って来てしまうものですが、その時どのような形で向きあうかと言うことが一番大事なことです。
その対策はかけ流し式の「耕起 、改良材の散布、湛水作業、代かき作業、静置、落水であり、暗渠排水方式の「排水溝の設置、改良材の散布、真水(10cm程度)を浸す、排水」です。私達は一歩一歩長い道のりを不屈の努力で進んでいかなければなりません。