「REACH規制」とは

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おもな活動目的は?

環境問題と言えば、自然環境や野生動物の保護など、「人間が地球に及ぼす悪影響を減らす」ことに関心が集まる傾向が見られます。
しかし現代の人類が抱えている環境問題はそれだけにとどまらず、日頃使用している化学物質が人間の健康そのものに悪影響を及ぼす恐れもあります。
かつて戦後の日本では、急速な工業化が進んでいく過程で公害問題が各地で発生しました。
あれは過去の話ではなく、現在でもなお決して無視できない問題となっているのです。

そんな化学物質の危険から人間の健康や環境を守るために設定された規制のひとつが、このREACH規制です。
これは2006年に欧州議会の本会議において可決されたもので、2007年6月に発行しました。
ですから、厳密に言えば日本国内における規制ではなく、ヨーロッパにおける規制ということになります。
ヨーロッパをはじめ海外でビジネスを手掛けている企業にとっては、当然この規制に基づいたうえでの商品開発や事業展開が求められます。
そのため、EU圏への輸出を手掛けている企業にとって大きな影響がある規制となっています。

なお、日本でも「化学物質排出把握管理促進法」と呼ばれる化学物質を管理・規制する法律が設けられています。
ですから、ビジネスのレベルで化学物質がもたらす悪影響を食い止めようというのがこの規制の主な目的と言えるでしょう。
先述した日本の公害事件はみな企業によってもたらされたことを考えれば、この取り組みも納得できるのではないでしょうか。

基本的な内容は?

このREACH規制には、4つの大きな特徴があると言われています。
まず、すでに知られている既存の化学物質と、比較的新しい新規の化学物質をほぼ同等に扱う点が挙げられます。
新しい化学物質を使用する場合だけでなく、既存の化学物質を使用する際にも登録が必要になり、一環した環境で規制が可能になります。

2つ目は安全性評価の義務化、3つ目は先述したように化学物質を扱う事業者は原則として登録が義務づけられること。
この2つは事業者に対する大きな規制となっています。
なお、登録することで事業者ごとの化学物質の取扱量に応じて規制のレベルが設定されます。
そして4つ目は、有害な影響を及ぼす可能性がある特定の物質は原則として使用禁止にすることです。

わたしたちがこの法律を通して貢献するには?

このようにREACH規制はおもに産業界に課せられるものですから、わたしたち一般人が日常生活のレベルで行う環境対策と直接関わるものではありません。
しかし、現在でもなお化学物質が人体に影響を及ぼす可能性を抱えていること、それを防ぐための対策が世界レベルで進められていることを知っておくことは決して無駄ではないはずです。
化学物質やその有害性に関する知識を得れば、より深く産業がもたらす環境への影響を知るきっかけにもなるでしょう。