公害防止管理者の資格とは?
戦後、日本は高度成長期を迎え、敗戦国とは思えない躍進的な成長を遂げました。
しかしその裏で、深刻な公害問題が発生し、私たちの健康や生活を脅かすようになるという弊害も生じています。
特に工場などから排出される大気の汚染、水質の汚濁はいじるしく、昭和40年台は高度成長と引き換えに公害問題を激化させた時代ともいえるでしょう。
そこで政府は昭和45年、公害対策として公害に関する法律を改正。
しかし、法律改正で規制強化を行ったものの、多くの工場がこれらの規制を守るために必要な公害防止システムを備えていませんでした。
このため昭和46年に特定工場における公害防止組織の整備に関する法律を制定。
それぞれの工場には、公害防止の専門知識を有する人材から作られる組織を設置することを義務付けたのです。
そして、この法律で決められたのが、公害防止管理者の資格制度です。
公害防止のための人的組織は、工場長などの公害防止統括者をトップに、その下に部長・課長格の公害防止主任管理者、さらにその下に公害防止管理者の有資格者を設置し、現場指導を行うとされています。
公害防止管理者の資格を取得するには?
(参考記事)
資格取得の方法|国家試験・資格認定講習|公害防止管理者 |一般社団法人産業環境管理協会
公害防止管理者は公害の内容によって種類が分けられており、大気汚染に関連する4種類、粉じんや水質に関係する4種類に加え、騒音関係、振動関係、ダイオキシン類関係の計13種類があります。
公害防止管理者の資格を得る方法は、2つあります。
第1は、毎年1回実施される国家試験に合格する方法です。
第2は、毎年30回程度実施される資格認定講習を受講して、資格を取る方法です。
公害防止管理者の資格試験の合格率は、受ける種類によって異なりますが、平均で19.8%程度。
合格率はそれほど高くありませんが、しっかりと試験対策をして勉強していれば、合格は決して難しいことではありません。
公害防止管理者の資格があると、化学関連企業などへの就職に便利です。
化学系の大学生や、すでに実務に携わっている30~40代の社会人の受験者が多いのが特徴です。
大手企業など一部の企業では公害防止のための人的組織をきちんと整えていますが、それ以外の大半の工場では、まだまだ公害防止管理者の有資格者は不足しており、有資格者の需要が高まっています。
このため有資格者は給与面や昇格など有利な条件で採用されるケースが多く、化学工場などへの就職を希望する人に特におすすめの資格です。
公害防止管理者の資格試験の受験資格には学歴、年齢などの制限が設けられておらず、誰でも受験することができます。
一方、講習の受講資格では、資格の種類ごとに必要な技術資格や、実務経験年数などが決められており、受講資格を満たしていることが条件となります。