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今後大きな問題になるかもしれないスペースデブリ

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スペースデブリとは

地球ぐるみでの環境汚染が問題になっていますが、今後、大きな問題としてクローズアップされてくる可能性があるのが「スペースデブリ(space debris)」です。
スペースデブリというのは、端的に言えば宇宙ゴミのことです。
使用済みになった人工衛星の塗料片やロケットの上段、宇宙飛行士が落とした工具や部品などはすべてスペースデブリです。
ちなみに、天然の微小な隕石や岩石などは「流星物質」と呼ばれており、スペースデブリとは厳密に区別されています。

宇宙開発が進むにつれてスペースデブリの数は増加しており、問題化が指摘されています。
スペースデブリが活動中の人工衛星や国際宇宙ステーションに衝突すれば、設備が破壊されるなどの深刻な結果が予想されますし、乗員のいる有人宇宙船では生命が脅かされることさえ考えられます。
スペースデブリによる被害としては、フランス軍事観測衛星「CERISE」にアリアンロケットの破片が衝突してブームを損傷した1996年の事故や、米国の通信衛星「イリジウム」に使用済みのロシア衛星が衝突して大破した2009年の事故などが有名です。

スペースデブリの対策

スペースデブリは一国だけの問題はなく、場合によっては国際問題にも発展しかねないため、「UNCOPUOS(United Nations Committee on the Peaceful Uses of Outer Space-国際連合宇宙平和利用委員会)」はスペースデブリの発生を防止するための「スペースデブリ低減のためのガイドライン」を2007年に承認・提言しています。
UNOOSAでは、このガイドラインをもとに法務省委員会を作って議論を進めています。
基本的には、今後打ち上げるロケットや人工衛星がスペースデブリになってしまわないような処理を行うことが重要になってきます。

各国の対策

デブリ対策にいち早く乗り出したのはアメリカで、1988年から新たなデブリの発生を最小限に食い止めるための対策を講じています。
欧州もスペースデブリ対策には積極的で、2012年には「ESA(European Space Agency-欧州宇宙機関)」が「クリーン・スペース・イニシアチブ」を発表しています。

日本では国と民間が協力し、安全標準「NSS1740.14:軌道上デブリ抑制のためのガイドラインと評価手順」をもとにして対策方法が研究されています。
現時点では、デブリ対策に関してのスタンスは各国ともバラバラで、国際的なルールや罰則規定などは作られていない状態です。
一人一人が関心を持たなければ政策が積極的に動くこともあまりありませんから、非日常的なことと思わず、意識をもってニュースを追いたいトピックです。