原発事故による大打撃からの立ちあがりをサポート
福島地方は、東北地方太平洋沖地震による震災被害と津波に加え、東電の福島原発のトラブル被害により広範に放射性物質が拡散し、帰宅困難な地域が生じるなど重大なダメージを受けました。
福島の全ての地域で計画的避難区域を始め多数の地元住民が、居宅に住み続けることが出来なくなり、避難を余儀なくされ、福島県の集計によれば平成24年3月時点で16万人が避難生活を強いられました。
また、避難だけにとどまらず、地元自治体では人口の流出が止まらず、経済活動はストップし、従業員確保さえ困難でした。
このような状況の打破を目的として、復興のための特別措置法などがつくられ、東日本大震災と原発事故からの復興をサポートする国レベルでの体制が整備されました。
法律をベースに再生の総合的枠組みを決定
「再生基本方針」は前記の措置法を根拠として、当時の民主党政権の下で、平成24年夏に閣議で決定されたものです。
特に、東日本大震災を起因とする福島第一原発の事故はこれまでに経験のない被害であり、主にこれからの福島県の復興と再生をサポートする対策を総合的かつ計画的に進めていく道筋を描く国としての基本的な方針です。
大きく分けて9つの柱からなる方針で、基本方針の冒頭に「福島の再生無くして日本の再生無し」との理念を掲げ、「新しい福島を作り上げる」ことを強くアピールしています。
その理念に基づき、福島の再生と復興に資する個別・具体的なターゲットとして、安全かつ安心な生活環境の再現、地域の産業・社会の復興を目指し、サポートする施策を盛り込む形式が採られています。
なお、避難解除等地区の復興サポートなどに関しては、これまで、安全の名の下に原子力政策を推進した国の社会的責任を十分認識した上で、地域住民に誠意を持って対応し、市町村の復興をサポートする旨が明記されました。
つまり、これらのことは具体的には、元の居住地に帰還することを希望する者がみな帰れるよう、また若い世代が転出せず、帰るモチベーションを持てるよう応援することを意味します。
健康を重視する施策も重要ポイント
福島の復興や再生のサポートで最も重視すべきは、放射線が人々の健康へ与える不安や戸惑い、影響と原子力発電所事故で分断された家族や地域社会の再生です。
このため、福島県全区域の住民に対する健康不安に配慮する施策として、健康管理調査を行いデータベースを蓄積することによるヘルスケア、農林水産物等を始めとする福島県産の食品の放射能濃度検査、土地等の除染、放射線が子供に及ぼす健康不安の解消策、放射線が人体に与える悪影響についての学術研究の支援などが含まれます。
これ以外の項目として、原発事故により壊滅的にダメージを受けた産業の復興と再生、また、再生可能なクリーンエネルギーの利用を普及させる事などが盛り込まれています。