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欧州で進む環境破壊の刑罰化議論

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欧州での環境破壊に対しての法整備

世界中のあちこちで環境破壊が起こっており、時には環境が破壊されたことによって人命が失われるようなケースも見かけられます。
欧州では、環境を破壊する行為を重大な犯罪として認定し、当事者を起訴するための法整備が行われようとしています。
現在、国際弁護士や国際法学者、元検察などによって構成されている団体「SEF(Stop Ecocied Foundation)」が法整備に取り組んでいます。

SEFでは、2021年6月にEcocide(エコサイド-環境破壊犯罪行為)の法的な定義を発表しました。
ICC(国際裁判所)では現在、「集団殺害(genocide)」「戦争犯罪(war crimes)」「人道に対する犯罪(crimes against humanity )」、そして「侵略犯罪(crime of aggression)」の4つを管轄にしています。
ICCの管轄である国際犯罪に、エコサイドも追加認定させたいというのがSEFの目論見です。

国際法で裁かれる日がくるかもしれない

エコサイドというのは「エコ」と「ジェノサイド(大虐殺)」の2つの言葉から作られた造語で、具体的には海洋被害や森林破壊、土地と水の汚染、大気汚染をエコサイドの具体的な事例として挙げることができます。
貨物船座礁事故などによって起こった油流出やプラスチック汚染、深海採鉱は、人間が避けようと思えば避けられるアクシデントです。

森林にしても、石油掘削やパーム油と木材の生産に歯止めをかければ破壊を防ぐことは十分できるわけですから、法的な刑罰が定められれば環境破壊にストップがかかることは間違いありません。
大気汚染の場合も核兵器・核実験や産業廃棄物、放射能汚染が原因となっている場合、明らかに人災ですので、法的に取り締まりをしなければならないという意見はもっともです。

バヌアツ共和国の欧州連合大使も、2019年12月にエコサイドは集団虐殺と同じレベルの国際犯罪とみなされなければならないという表明を発表しています。
環境破壊には世界のトップ企業3000社が関与しており、破壊によって引き起こされた被害は2.2兆ドルにも上ることが国連の未公開レポートにまとめられています。

環境破壊によって生態系がダメージを受ければ、資源は減少し、最終的には戦争を引き起こすと言う学者もいます。
ストップエコサイドキャンペーンを政府規模で行なっている国も増えてきており、モルディブ共和国なども先進的な取り組みを表明しています。
環境破壊を法で罰することができるようになれば、環境汚染などに大きな歯止めがかかることは間違いありません。
今後も、環境破壊に対する法整備の問題は、世界規模で活発化していくことが考えられます。