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「ロッテルダム条約」とは

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途上国を始め無制限な化学物質使用を背景に締結

人間が自らの暮らしを向上させるなどの目的で、地球上に生み出した化学物質は数千万種類に及ぶとも言われ、そのうちの数十万種類は現実に使われています。
1992年に開催された地球サミットにおいてアジェンダ21が議決され、生態系に有害な化学物質に対し国際社会を挙げて適切にコントロールすることが必要だと提言されたことを受け国際連合環境計画(略称:UNEP)の下で各国間の交渉が行われました。

そして、平成10年にオランダのロッテルダムで開催された外交会議で、インターナショナルな貿易のターゲットとなる特定の有害な化学物質等に関連し、ロッテルダム条約が決議されました。
平成23年時点で、我が国を含む73か国とEUが署名し、条約に参加しています。
この条約は、人の健康や環境の維持を目標に、一定の有害な化学物質の特性に関する積極的な情報交換の推進を目的とし、その対象となる化学物質の貿易に関する締約国の意思決定の手続を定めています。

対象の化学物質の適切な使用の為、国際間での輸出入の際、参加国が化学物質に関し協調して責任を全うし、最善を尽くすことを強く決意しています。
このような条約が締結されたバックグランドには、人口増加を続ける途上国における情報欠如の結果としての有害化学物質による環境汚染や人的健康被害の顕在化が挙げられます。

従来の制度の不備を補完するロッテルダム条約の具体的仕組み

従来より、一定の有害な化学物質を貿易の対象とする際は、国際連合環境計画と同食糧農業機関が事前に受け入れる国に対し、輸入出来るかどうかを確かめ、持ち出す国に対しては、受け入れ国側の意思を最大限に尊重する制度が1980年代から存在していました。

このような制度が先進国においては、ガイドラインに沿った形で実施されてきたのですが、このような制度の枠外となっている途上国で、先進国で使用が禁じられている化学物質が使われて、環境汚染や人的健康被害の原因となる状況が見られました。
これは主に、化学物質の有害性に関連した情報を入手しにくい途上国などへと輸出が行われたためです。

そのため、途上国においてもこの条約に参加する必要が急務となったのです。
ロッテルダム条約を基準に、条約の実務を担う事務局は、条約の附属書で定められた石綿、水銀などを始めとする一定の有害化学物質に関しての輸入国側の許可条件を参加国全てに通知しています。

そして、対象となる化学物質を輸出する側の国は、輸入国側の意向を確認し、尊重しなければいけないのです。
さらに、参加国がその国でオリジナルに化学物質の使用禁止など行うケースで、その物質を他の国に輸出しようとする場合、その国は受け入れる国へその物質の有害性の情報等を前もって伝えることが義務付けられています。